第2回「ChatGPTの使い方と”プロンプト”のコツ」
第2回「ChatGPTの使い方と”プロンプト”のコツ」
このこのシリーズでは、「生成AIって何?」という基本的な疑問から、実際のビジネス活用まで段階的に理解できるよう解説していきます。
- 第1回:生成AIとは?ChatGPTって何ができるの?
- 第2回:ChatGPTの使い方と”プロンプト”のコツ(本記事)
- 第3回:生成AIは何に使える?5つの活用シーンと具体例
- 第4回:セキュリティ・著作権・誤用リスクとどう向き合うか
- 第5回:中小企業でもできる生成AIの導入ステップ
本記事では、第2回として「ChatGPTの使い方と”プロンプト”のコツ」について詳しく解説します。
目次
はじめに
前回の記事で生成AIの基本を理解いただけたでしょうか。「実際に使ってみたいけど、何から始めればいいの?」「思った通りの答えが返ってこない」そんな疑問をお持ちの方も多いはずです。
ChatGPTを使っている人が急速に増えてきた今こそ、基本をしっかり押さえて”道具として使いこなす”スキルを身につけましょう。この記事では、今日から即実践できる具体的なテクニックを解説します。
1. ChatGPTの基本操作をマスターしよう
①アカウント作成から初回利用まで
Step1:アカウント作成
- ChatGPT公式サイト(https://chatgpt.com/)にアクセス
- 「Sign up」をクリック
- メールアドレスまたはGoogleアカウントで登録
- 電話番号認証を完了
Step2:初回セットアップ
- 利用規約に同意
- 簡単な質問に回答(任意)
- チャット画面が表示されたら準備完了
②画面の見方と基本的な使い方
メイン画面の構成
- 左側:チャット履歴(アイコンメニューからアクセス)
- 中央:メッセージ入力欄
- 上部:設定とモデル選択
基本的な使い方
- 下部の入力欄に質問や指示を入力
- Enterキーまたは送信ボタンをクリック
- AIからの回答を確認
- 必要に応じて追加質問や修正依頼
現在はGPT-4o(最新モデル)が使われており、より自然で正確な文章生成が可能になっています。
③無料版と有料版の違い
現在は、無料プランでもGPT-4o(最新モデル)が使用可能です。ただし利用回数や機能に制限があります。
項目 | 無料版 | 有料版(Plus) |
---|---|---|
月額料金 | 無料 | 約3,000円 |
使用モデル | GPT-4o(制限付き) | GPT-4o(無制限) |
利用回数 | 制限あり | 多く利用可能 |
応答速度 | 混雑時制限 | 優先アクセス |
高度な機能 | 基本機能のみ | データ分析・Web検索・画像生成 |
ファイル処理 | 限定的 | PDF読み取り・Excel分析など |
業務でしっかり活用したい方は、有料プランの検討もおすすめです。有料版では、表データの分析やPDF読み取りといった高度な機能も利用できます。最初は気にせずOKですが、”次の一歩”として覚えておくと便利です。
初心者の方は無料版から始めて、制限を感じてきたら有料版を検討するのが効率的です。
2. ChatGPTでよくある誤解と注意点
①「ChatGPTは万能ではない」を理解する
ChatGPTは非常に優秀なツールですが、完璧ではありません。以下の特性を理解して使いましょう。
得意なこと
- 文章の作成・要約・翻訳
- アイデア出し・ブレインストーミング
- 情報の整理・構造化
- プログラミングコードの作成・修正
苦手なこと
- 最新情報の取得(2023年4月以降の情報は限定的)
- 数学的計算(複雑な計算は間違える場合有り)
- 個人情報や機密情報の処理
- 法的・医学的アドバイス
②情報の正確性について
重要:ChatGPTは「もっともらしい嘘」をつくことがあります
対策方法
- 重要な情報は必ず複数の情報源で確認
- 統計数値や固有名詞は別途検証
- 「〜と思われます」「〜の可能性があります」という表現に注意
③得意なこと・苦手なことを把握する
ビジネスでの活用に向いている用途
- メール文面の作成
- 企画書・提案書のアウトライン作成
- 会議の議事録整理
- マニュアルや手順書の作成
注意が必要な用途
- 契約書や法的文書の作成
- 財務データの分析
- 個人情報を含む文書処理
3. “プロンプト”の書き方|基本の4原則
「プロンプト」とは、ChatGPTに送る指示文のことです。この書き方次第で、回答の質が大きく変わります。
①具体的に指示する
❌ 悪い例
「プレゼン資料を作って」
⭕ 良い例
「新商品発表会向けのプレゼン資料の目次を作ってください。
対象:既存顧客(30代〜50代の経営者)
商品:クラウド型業務管理システム
時間:15分間
強調したいポイント:コスト削減効果と導入の簡単さ」
②役割を設定する
指示例
「あなたは経験豊富なマーケティング担当者です。」
「あなたは丁寧な接客で評判の営業担当者として回答してください。」
「あなたは簡潔で分かりやすい説明が得意な研修講師です。」
実例
「あなたは中小企業のマーケティング担当者です。
新規顧客獲得のためのSNS投稿文を3パターン作成してください。
- 商品:業務効率化ツール
- ターゲット:従業員10〜50名の企業
- 投稿媒体:LinkedIn
- 文字数:各150文字以内」
③出力形式を指定する
形式指定の例
- 「箇条書きで5つ挙げてください」
- 「表形式で整理してください」
- 「結論を最初に、理由を後で説明してください」
- 「小学生でも分かる言葉で説明してください」
実例
「以下の会議内容を議事録として整理してください。
【出力形式】
1. 会議概要(日時・参加者・議題)
2. 決定事項(番号付きリスト)
3. 今後のアクション(担当者・期限付き)
4. 次回会議予定
【会議内容】
(実際の会議内容を貼り付け)」
④例を示す
例示の効果 ChatGPTに「こんな感じで」という具体例を示すことで、期待する回答に近づけます。
実例
「顧客フォローメールの文例を作成してください。
【参考例】
件名:〇〇様、先日はありがとうございました
本文:
お世話になっております。
先日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき...
この形式で、以下の条件で作成してください:
- 商談後のお礼メール
- 次回アポイントの打診を含む
- 丁寧だが親しみやすいトーン」
4. 回答精度を劇的に上げる実践テクニック
①段階的に質問を深める
一度に完璧を求めず、会話を重ねて精度を上げる
Step1:大枠を確認
「新商品のマーケティング戦略について相談したいです。
まず、一般的にどのような要素を検討すべきでしょうか?」
Step2:具体化
「ありがとうございます。弊社の状況は以下の通りです:
- 商品:中小企業向けAIツール
- 予算:月100万円
- 期間:6ヶ月
- 目標:月間50件の問い合わせ獲得
この条件で、特に重要な戦略を3つ教えてください。」
Step3:実行可能レベルまで具体化
「デジタルマーケティングについて、具体的な実施手順と
必要なツール、想定される費用を教えてください。」
②制約条件を明確にする
制約条件の例
- 予算:月額10万円以内
- 期間:3ヶ月で完了
- 人員:担当者1名(週10時間)
- ツール:既存のOffice 365を活用
- 対象:既存顧客のみ
実例
「社内の業務効率化提案を作成したいです。
【制約条件】
- 予算:50万円以内
- 導入期間:2ヶ月
- 対象部署:営業部(5名)
- 使用ツール:Microsoft 365のみ
- 目標:週5時間の業務時間削減
この条件で実現可能な施策を提案してください。」
③「確認」を活用する
理解度確認
「私の依頼内容を、あなたの理解として要約してください。
間違いがあれば指摘します。」
方向性確認
「今の回答で方向性は合っていますが、
もう少しコスト面を重視した提案をお願いします。」
段階確認
「Step1の内容で進める前に、他に検討すべき要素はありますか?」
まとめ
ChatGPTを「道具として使いこなす」ためには、適切なプロンプトの書き方と、AIの特性を理解することが重要です。
本記事のポイント
- 具体的な指示:曖昧な質問では曖昧な回答しか得られない
- 役割設定:専門家として回答してもらうことで精度向上
- 段階的改善:一度で完璧を求めず、会話を重ねて精度を上げる
- 制約条件:予算・期間・人員などの現実的な制約を伝える
- 確認の習慣:重要な情報は必ず別途検証する
次回は「生成AIは何に使える?5つの活用シーンと具体例」について詳しく解説します。