第3回「生成AIは何に使える?5つの活用シーンと具体例」
第3回「生成AIは何に使える?5つの活用シーンと具体例」
このこのシリーズでは、「生成AIって何?」という基本的な疑問から、実際のビジネス活用まで段階的に理解できるよう解説していきます。
- 第1回:生成AIとは?ChatGPTって何ができるの?
- 第2回:ChatGPTの使い方と”プロンプト”のコツ
- 第3回:生成AIは何に使える?5つの活用シーンと具体例(本記事)
- 第4回:セキュリティ・著作権・誤用リスクとどう向き合うか
- 第5回:中小企業でもできる生成AIの導入ステップ
本記事では、第3回として「生成AIは何に使える?5つの活用シーンと具体例」について詳しく解説します。
目次
はじめに
前回までで生成AIの基本と使い方を学びましたが、「実際に自分の業務では何に使えるの?」「試したことはあるけど、結局続かなかった」という声をよく聞きます。
現在は無料版でも、最新モデルであるGPT-4oを利用できるようになり、文章生成の精度や応答速度が大きく向上しています。調整の手間も少なく、実務でそのまま使えるレベルの出力が期待できます。
この記事では、中小企業でも今すぐ実践できる5つの活用シーンを、「試したことはあるけど定着していない方」にも参考になるよう、継続しやすい具体例とプロンプト例とともに紹介します。
1. 【活用シーン①】定型文作成で時短を実現
①メール作成の自動化
効果:30分 → 5分(作成時間83%短縮)
具体的な活用例
お礼メールの作成
【プロンプト例】
「以下の条件でお礼メールを作成してください:
- 相手:初回商談をしたお客様
- 商談内容:クラウド型業務管理システムの提案
- 次のアクション:1週間後に詳細見積もりを送付予定
- トーン:丁寧で親しみやすく
- 文字数:200文字程度」
フォローメールの作成
【プロンプト例】
「契約後のお客様向けフォローメールを作成してください:
- 導入から1ヶ月経過
- 使用状況の確認とサポート提案
- 追加機能の簡単な紹介
- 困りごとがあれば気軽に連絡してほしいという内容」
実際の時短効果
- 従来:メール作成に30分(文面を考える、推敲する)
- AI活用後:5分(プロンプト入力、微調整のみ)
- 月20通のメール×25分短縮 = 月8時間の時短
つまり:ChatGPTに”誰に・何を・どんな目的で”書かせたいかを伝えるだけで、メールや報告書の作成時間が1/4になります。
②議事録の整理・清書
効果:60分 → 15分(作成時間75%短縮)
議事録の構成やアウトラインであれば、ほとんど手直し不要なレベルでの生成が可能になっています。
具体的な活用方法
録音データやメモから議事録作成
【プロンプト例】
「以下の会議メモを、正式な議事録として整理してください:
【出力形式】
1. 会議概要(日時・参加者・議題)
2. 討議内容(要点のみ)
3. 決定事項(具体的なアクション付き)
4. 今後の予定
【会議メモ】
(実際のメモ内容を貼り付け)」
要点抽出と整理
【プロンプト例】
「この会議内容から、各部署が対応すべきアクション項目を
部署別・期限付きで整理してください:
(会議の内容を貼り付け)」
③報告書のテンプレート作成
業務報告書の自動生成
【プロンプト例】
「月次営業報告書のテンプレートを作成してください:
- 営業チーム5名分
- 新規・既存顧客別の活動実績
- 課題と改善策
- 来月の目標設定
- A4用紙1枚にまとまる構成で」
2. 【活用シーン②】社内ナレッジの整理と検索
①マニュアルの要約・整理
効果:既存資料の活用度向上、新人教育時間短縮
長文マニュアルの要約
【プロンプト例】
「以下の業務マニュアル(50ページ)を、新入社員向けに
3ページのクイックガイドとして要約してください:
- 最重要ポイントのみ抽出
- 手順は番号付きで分かりやすく
- 注意点は太字で強調
(マニュアルの内容を貼り付け)」
部署別マニュアルの統合
【プロンプト例】
「営業部・技術部・総務部の各マニュアルから、
『新規顧客対応』に関する部分だけを抽出・統合して、
一つの業務フローとして整理してください」
②社内FAQ作成
よくある質問の整理
【プロンプト例】
「これまでに社内で受けた質問を整理して、
『勤怠管理システム』のFAQを作成してください:
- 質問と回答をセットで10項目
- 分かりやすい分類(基本操作・トラブル対応など)
- 新入社員でも理解できる表現で
【過去の質問例】
(実際の質問内容をリスト化して貼り付け)」
③過去資料の活用促進
類似案件の資料検索
【プロンプト例】
「過去3年間の提案資料から、『製造業向け』『売上1億円以下』
『従業員50名以下』の企業への提案内容を抽出・比較して、
成功パターンを分析してください」
つまり:蓄積された社内資料を「検索可能な知識」に変換し、新人でもベテランのノウハウを活用できるようになります。
3. 【活用シーン③】データ整理・分析のサポート
①アンケート結果の分析
効果:データ分析スキルがなくても洞察が得られる
売上分析やアンケート集計なども、有料プランではCSVを直接読み込んで分析できます(Advanced Data Analysis機能)。無料版でも、データをテキストとして貼り付けることで十分に活用可能です。
自由記述の分析
【プロンプト例】
「顧客アンケートの自由記述欄(200件)を分析して、
以下の観点で整理してください:
1. 満足度が高い点(上位5項目)
2. 改善要望の多い点(上位5項目)
3. 想定外の意見・提案
4. 今後の改善方針案
【アンケート回答】
(実際の回答データを貼り付け)」
②売上データの要約
月次売上レポートの作成
【プロンプト例】
「以下の売上データを分析して、経営会議用の要約レポートを
作成してください:
- 前年同月比較
- 商品別・顧客別の傾向
- 注意すべきポイント
- 改善提案
【売上データ】
(ExcelやCSVデータの内容を貼り付け)」
③競合調査の整理
競合分析レポート
【プロンプト例】
「以下の競合他社情報を比較表にまとめ、
自社の強み・弱みを分析してください:
- 価格比較
- 機能比較
- サービス内容
- 自社の差別化ポイント提案
【競合情報】
(調査した競合他社の情報を貼り付け)」
4. 【活用シーン④】資料作成の効率化
①提案書の構成作成
効果:構成検討時間 60分 → 10分(83%短縮)
提案書アウトライン作成
【プロンプト例】
「製造業向けDXコンサルティング提案書の構成を作成してください:
- 対象:従業員100名の金属加工会社
- 課題:生産性向上、コスト削減、人手不足対応
- 提案期間:6ヶ月
- 予算:500万円
- 20-30ページの提案書構成をお願いします」
②プレゼン資料の下書き
スライド構成と要点作成
【プロンプト例】
「新商品発表会の15分間プレゼン資料を作成してください:
- 商品:中小企業向けAI顧客管理システム
- 聴衆:中小企業の経営者50名
- 強調ポイント:コスト削減効果、導入の簡単さ
- スライド構成と各スライドの要点をお願いします」
③企画書のアイデア出し
新規事業企画のブレインストーミング
【プロンプト例】
「『地域密着型サービス』の新規事業案を10個考えてください:
- 対象地域:人口5万人の地方都市
- 初期投資:500万円以内
- 収益性と地域貢献を両立できるもの
- 各案の概要・ターゲット・収益モデルを簡潔に」
つまり:「白紙から企画を考える」苦労から解放され、アイデアの選別・精査に時間を使えるようになります。
5. 【活用シーン⑤】顧客対応の品質向上
①問い合わせ回答の作成
効果:回答品質の標準化、対応時間短縮
技術的な問い合わせ対応
【プロンプト例】
「以下のお客様からの問い合わせに対する回答を作成してください:
- トーン:丁寧で分かりやすく
- 技術用語は避けて、一般的な表現で
- 必要に応じて追加サポートの提案も含める
【お客様からの問い合わせ】
(実際の問い合わせ内容を貼り付け)」
②クレーム対応文の作成
適切なクレーム対応
【プロンプト例】
「以下のクレームに対する謝罪・対応メールを作成してください:
- 誠意ある謝罪
- 具体的な改善策の提示
- 今後の関係継続への配慮
- 文字数:300文字程度
【クレーム内容】
(実際のクレーム内容を貼り付け)」
③営業フォローメールの自動化
段階的フォローシステム
【プロンプト例】
「商談後のフォローメールを3段階で作成してください:
- 1週間後:お礼と次回提案予告
- 2週間後:詳細資料送付と質問確認
- 1ヶ月後:導入事例紹介と最終提案
各段階で適切なトーンと内容をお願いします」
つまり:個人のスキルに依存していた「顧客対応品質」を標準化し、誰でも適切な対応ができるようになります。
まとめ
生成AIは「魔法の道具」ではなく「優秀なアシスタント」として活用することで、日々の業務を大幅に効率化できます。
5つの活用シーンまとめ
- 定型文作成:メール・議事録で月8時間以上の時短
- ナレッジ整理:既存資料の活用度向上、新人教育効率化
- データ分析:専門知識なしでも洞察を得られる
- 資料作成:構成検討時間を83%短縮
- 顧客対応:回答品質の標準化と対応時間短縮
成功のポイント
- 小さく始める:1つの業務から試して徐々に拡大
- テンプレート化:効果的なプロンプトは保存して再利用
- 継続的改善:使いながらプロンプトを最適化
- チーム共有:成功事例は社内で積極的に共有
ChatGPTや生成AIは、試して終わりではなく”続けて使える仕組み”にできるかがカギです。うまく活用している企業は、プロンプトの型化や社内共有を進めています。
次回は「セキュリティ・著作権・誤用リスクとどう向き合うか」について詳しく解説します。